多様なデザイン分野を横断してきたインダストリアルデザイナーは、キャリア4年目にして教育・医療分野での製品設計において独自の経験を積み重ねてきました。
本インタビューでは、「ユーザー中心設計（User-Centered Design）」を通じて、どのように日常のワークフローをよりスムーズにできるのか、その実例を紹介します。
教室で使用されるタブレット充電カートから病院内の医療用ウォールキャビネットまで、作品は人間工学（Ergonomics）、安全重視のエンジニアリング設計、フィールドリサーチを融合し、「実用性」と「直感性」を兼ね備えたソリューションを実現しました。
課題
教育現場では、一見簡単に見える「授業前後のタブレットの受け取り」が、実際には5〜10分かかることが多く、授業の進行に遅れが生じていました。
当時の充電カートは狭い格納スペースや暗い視認性、取り出しにくさといった制約がありました。特に安全面は重要で、子どもに適した取り出し高さ、引き出しの転倒防止構造、安全認証付きの自動遮断電源システムなどを考慮する必要がありました。
医療現場では、さらに複雑な課題が存在します。医療プロセスは閉鎖的で観察が難しく、設計には競合分析と現場での検証が欠かせません。
多くの医療用カートやキャビネットは家具のデザインを参考にしており、見た目は美しい反面、緊急医療の現場には不向きでした。共用される医療機器は高頻度の使用に耐え、優れた人間工学的設計と直感的な操作性が求められます。
ソリューション
教育市場向けには、引き出し式の充電カートを開発し、タブレットの受け取り時間を半分以下に短縮しました。
開放的な構造と適切な照明により、取り出しが迅速かつ安全になり、高さは80〜120cmに設計して子どもの落下事故を防止。
上部は30〜40kgまでの耐荷重を持ち、多様な教材を置くことが可能です。さらに、引き出しには転倒防止構造を備え、国際認証取得済みの電源制御ボックスを内蔵し、安全性と輸出対応を両立しました。
医療市場向けには、実際の業務プロセスの観察に基づき、用途や設置場所ごとに最適化した医療用ウォールキャビネットを設計。
家具的な装飾ハンドルを排除し、機能性を重視した人間工学的デザインを採用することで、耐久性と操作性を大幅に向上させました。
最終製品はユーザーエクスペリエンス（UX）を高めただけでなく、クライアントに医療機器市場での競争優位性をもたらしました。
「ユーザー中心の設計」は、操作体験を向上させるだけでなく、教育・医療現場における効率性と安全性を大きく高めます。
製品が日常の中に自然に溶け込み、「本当の価値」を発揮する――それこそが、私たちのデザインが目指す姿です。
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